1:1:1台本 ファンタジー
斎藤 奈央:(さいとう なお)♀(21)
冒険好き ロールプレイングゲームが大の得意
夢 魔法使いになりたかった。優しい 怖がり
谷宮 祐也:(たにみや ゆうや)♂(22)
奈央と友達 ロールプレイングゲームが好き 刀が好き
夢 ナイトファンタジーの刀を持ったキャラになりたかった。前向き
妖精 レイ:♂♀
魔法の国へと導く妖精 小悪魔 いたずら好き 奇妙な格好の漆黒の妖精
黒猫:斎藤奈央と兼ね役。
奈央 兼ね役 黒猫:♀
祐也:♂
レイ:♂♀
祐也:「うわーーー」
奈央:「きゃーーー」
奈央M:「ストップ、ストップ、ストップ、ストップ」
奈央:「ん?時が…止まった。」
祐也:「魔王の剣の動きが止まった。奈央、なにか魔法を使ってくれたのか?」
奈央:「心の中で、ストップって言い続けただけなんだけど、詠唱なしで魔法が?」
祐也:「ここ、夢と魔法の王国だろ?だから使えたんじゃ。」
奈央:「心の中の思いも反映されるのね。
だから、あの時、無詠唱でディケイトが使えたんだ。」
祐也:「とりあえず、今のうちに、魔王倒しちゃおうぜ。」
奈央:「そうね。ただ…心配なことが…」
祐也:「心配なこと?なんだ奈央、そんなに弱気になって。」
奈央:「魔法効果の時間よ。あの変な妖精のことだからなにか小細工しそうだなってね。」
レイ:「気づいたようだね、君たち。魔法は使い放題だよー。
でも、時を止める魔法は短くしなくっちゃね。戦いの面白みがなくなっちゃうし。」
レイ:「あと、少しだけ待ってあげよう。その間に倒せるか、それとも…あははっ」
奈央:「やっぱり余計なことを…
やりましょう。祐也。今から、最強魔法を使うから、私の力は限界よ。いいわね?」
祐也:「あとは俺1人でってか。よし、使ってくれ。やってみる。」
奈央:「わかったわ。悪を倒せし伝説の剣よ、いでよ。
そして彼にご加護と、勇気を。」
祐也M:「刀が剣に変わった。これが、かの有名なクラウ・ソラスか。
伝説の剣を出してくれるなんて、いいことしてくれるねー。」
奈央:「最強魔法、デュランキュラス、魔王の防御力を減退。属性を闇に変更。
聖属性のクラウ・ソラスの攻撃なら倒せるはずよ。」
奈央:「魔王が動き出したわよ。祐也避けて」
祐也:「よっと。そんな攻撃当たらねーよ。」
奈央:「いいわよ!その調子。」
祐也:「聖なる剣よ我に力を…これを食らえ。よし、確実に相手にダメージを与えている。」
奈央:「安心してる場合じゃないわ、次の攻撃よ。魔法攻撃がくるわ!」
祐也:「くっ、魔法攻撃が来る前になんとかしないと。」
奈央:「祐也、あともう少し、もう少しよ。確実に魔王は弱っているわ。」
祐也:「最後の一突きだ!食らえ。」
祐也M:「やったか?魔王の剣が折れて姿が消えていっている。やったー。これで帰れるー。」
レイ:「(拍手)やったねー。やってくれました。よかったね死ななくて。
ちょっと、負ける姿も見てみたかってけどね。はははっ」
奈央:「あっ、変な妖精また現れたわね。次は何をさせたいの?
というより、こんな事して何が面白いの?」
レイ:「面白い?面白いじゃないか。命がけで、必死になる姿、素敵だよ。」
祐也:「人の生き死に見て、何で笑ってられるんだよ。
お前は本当に妖精、なのか?」
レイ:「正真正銘、妖精だよ。でも、僕は妖精界から追放された身だけどね…」
奈央:「レイ、何があなたをそうさせてしまったの。教えてくれない?」
レイ:「まさか、僕の過去に興味を持つ人たちに出会うとはね。君たちを選んだのが
間違いだったのか、正解だったのか…」
祐也:「なにか悩んでるんだったら話してみろよ。」
レイ:「今までこんな形で、人の優しさには触れたことがなかったよ。
皆、終われば返してくれーって泣いて頼んできたのに。」
レイ:「実は昔、私は妖精界でいじめられていたんだ。
私は怒り狂って、あろうことか、禁断の魔法に手を出してしまった。」
奈央:「可哀想に…いじめられていたのね。禁断の魔法に手を出したから追放されたの?」
レイ:「いや、それだけでは、気持ちがおさまらず、それを実際に使ってしまった。
使ったことによって、妖精界の半分が崩壊しかかり、追放されたってわけ。」
祐也:「そりゃ、自業自得だぜ。で、その腹いせに人間にいたずらして遊んでるのか?」
レイ:「そうじゃないんだよ。ただ、遊び相手が欲しかった。ただそれだけ。
命がなくなるっていうのは嘘でね、危なくなったら助けていたんだよ。
今回は、君たちが自ら進んで行動してくれたから、僕は安心して見守れたよ。ありがとう。」
奈央:「私たちとの遊びが終わったら、また次の標的を探すの?その繰り返しで
何が「楽しい」よ。全てあなたの自己満足じゃない。」
レイ:「自己満足か…言われてみればそうかもしれない。
でも、この遊びも今日で終わりなんだ。」
拓也:「終わり?どういうことなんだ。妖精界へ帰るとでも?」
レイ:「そうさ。やっと妖精界へ帰る許可が出てね。最後の人間界での遊びだと思うと
やりすぎちゃった。ごめんね。」
レイ:「少し僕のことを話しすぎたようだ、さぁ、元の世界に戻る時間だよ。」
奈央:「1人で、これから寂しくない?大丈夫?」
レイ:「妖精界へ戻って、どうにかこうにか過ごすさ。聞いてくれてありがと。」
奈央:「レイのこと、一生忘れないわ。実は、いい妖精さんなのね。」
レイ:「覚えておく、か。それは無理だよ。ここの記憶、ここでの出来事
僕のこと、元の世界に戻ったら、全部忘れちゃうから。」
拓也:「そんな…冒険の記憶も無くなるなんて。辛かったけど楽しかった。
残しておいてくれないか?」
レイ:「それが無理なのが妖精界での掟さ。すまないね。君たちには感謝しかないよ。
これ以上話していると、名残惜しくなる。ではこれで。」
拓也:「そ、そんな勝手な終わらせ方、ないよ。」
奈央:「まだ話していたい。レイの事いろいろ知りたい。ダメなの?」
レイ:「さよなら。そして、ありがとう。」
黒猫:「にゃーーーー」
祐也M:「まただ!目が回る。どこへ飛ばされるんだ。元の世界?うわっ真っ暗になった。」
奈央M:「レイ!レイ。まだ話したいことが、あ、あれっ?
さっきまでの記憶が、段々と消えてゆく。真っ暗な世界…。」
祐也:「あれっ。さっきまで何考えてたっけな。」
奈央:「ねこちゃ~ん…。あれっ?猫ちゃん、いなくなってる。どういうこと。」
祐也:「そういや、さっきまで黒い猫いたよな。なんでいきなり居なくなるんだ?」
奈央:「うーん。わかんないなぁ。可愛かったのに…。また会えるよね。まぁいいや。」
祐也:「いいのかよ。まだそこら辺に…いないなー。ん?なんだこの変な形の黒い羽。」
奈央:「鳥の羽かな?でも綺麗な黒だね。家に飾ろっかな。」
祐也:「不思議な黒だよな。ずっと見てても飽きないな。」
奈央:「それはそうと、ねーねー。久しぶりに、靴飛ばしで、勝負しよっ!」
祐也:「いいぞ、負けないからなー」
奈央:「なんか、こんな話したり、遊んだりしてるとほんと、昔を思い出すね。」
祐也:「そうだな。またここで遊ばないか?」
奈央:「いいわよ。その時こそ靴飛ばしの勝負、負けないんだから」
祐也:「約束だぞ。日も暮れてきた頃だし、飯にでも行くか。
なんだかすっごく腹減った。」
奈央:「そうね、私もなんだかクタクタで。ゆっくり食べながら思い出話でもしましょ。」
祐也:「おう。決まりだな。何食べようか。手軽にファミレスとかどう?」
奈央:「いいね、近いしそうしよう。」
奈央M:「何故か、この羽懐かしいような…思い入れが強くなっちゃう。なんでだろ。」
祐也M:「あの羽、見覚えがあるような無いような…ま、いっか。」
レイM「ありがとう君たち。僕の話まで聞いてくれて。君たちが最後のお客さんだ。
でも、彷徨う妖精はまだ、たくさんいる。
次に出会うのはあなた達かもしれないよ。はははっ」